Woodstove Planning

薪ストーブを設置するに当たって、当時色々考えていたのですが、実際に使用してみて、こうすればよかったんだなぁ、と思うことが色々あります。

設置場所

これはやはり建物の中心か、北側が最も適しています。そして、多くの場合薪ストーブはリビングに設置することが多いでしょうから、リビングが南に面していれば、薪ストーブはその部屋の反対側に設置するのが適当です。また、建物の中でリビングを北側の部屋にすれば、薪ストーブは自然と北側の部屋に設置して、夏は涼しい部屋となるのです。最近はよく、日当たりを考えてリビングを南側にしがちですが、ペアガラスで金属皮膜の窓を設置する最近の住宅では、冬の陽の暖かさはそれほど実感できませんし、南の部屋だけ暖めていると、北の部屋を利用しなくなってしまいます。だから、リビングは北にして暖房や薪ストーブで暖めて、それが家全体に伝わるような間取りにする方が、家全体を有効に使えるし、家の中で温度差を生まないつくりに出来るのです。
もうひとつ、大きな考慮すべき点は、隣家が近い場合の煙突の位置です。やはり、窓を開けて煙突が目の前にあったら、普通はいい気分はしないものです。これは是非避けたいところです。

メンテナンスしやすい設置の工夫

薪ストーブは本体だけでなく、最低でも年一回は必ず煙突(パイプ)を掃除しなくてはなりません。これを毎年薪ストーブショップに頼んでいては、毎年何万円もの出費が必要になります。だから多くのユーザーは自分で掃除をしますが、室内筒と室外筒、そして煙突囲いがあれば、ルーバーつき角トップなどを掃除するのは、結構な手間を要します。したがって、出来るかぎり楽に安全に作業できるように、事前に考えて煙突を設置しておくのが賢明です。煙突が屋根出しなら、屋根の傾斜を緩やかに、煙突までは梯子をあらかじめ設置したりといった具合に。特に棟付近に煙突を出す場合、かなりの高所になる可能性がありますから、若いうちはいいとしても、年齢を重ねるとかなり危険度が上がってしまいます。思い切って家自体を平屋か平屋プラスロフトなどのつくりにするのも一考です。

クリーンな排気

現在も多くの種類の薪ストーブが日本国内でも入手できますが、クリーンな燃焼排気構造にも世代があり、最新のものもあれば、2世代前のものもあるのが現実です。見た目だけで機種を選定するのはとても危険です。山奥の別荘地や田舎で、野焼きや焚き火も平気な地域なら気にすることはありませんが、ある程度住宅が集まっているところでは、煙や臭いに敏感な人もいますから、やはり最新の機種を選んでおくのが無難です。もちろん近隣への事前の周知確認は必須ですが、使用し始めてからクレームを受けることもないわけではありません。出来る限りのことはして設置したのだという努力を示せなかったら、クレームの相手への説得力が弱くなってしまいます。日本では、燃費は二の次で、何しろ近隣からクレームを受けないために最新の機種を選ぶべきなのです。

必要十分なサイズ

大きさ(重量、熱放射容量)は最も悩ましいところです。予算との兼ね合いでもありますが、温暖地に200kgを超える機種はオーバーサイズですし、寒冷地で150kgの機種は明らかに不足です。一番良いのは定格運転(ストーブトップで200~300度)で、その家が22~24度くらいになるのが、ベストなサイズです。大きすぎればチョロチョロ焚くことになり、煙突が煤だらけになります。小さすぎるといつもオーバーバーンとなり、寿命を短くしてしまいます。こればっかりは近くのユーザーをリサーチして最適なサイズを想像するより他ありません。薪ストーブショップの薦めは参考程度に聞いておいた方がいいでしょう。やはり同じような家のつくりで同じような家のサイズで、同じ気候のユーザーの意見が間違いないと思うからです。

炉台は広く、ヒートシールドは簡素に

薪ストーブを使ってみると、どんなに気を付けていても思いのほか、煤や灰や薪のクズが散らばります。薪を投入するときも中の薪が爆ぜて付近に落ちると床を焦がすことになります。だから炉台は広い方がいいです。広ければ室内に多くの薪を置いておくことも出来ます。何度も外へ取りに行くのは面倒だし、寒いですからね。
また、ヒートシールド、つまり壁との隔壁ですが、これをレンガを積んだり貼り石をしたりするのは、あまりお薦めではありません(ホプシーはそうしてしまいましたが)。なぜなら、そうするのは薪ストーブを暖炉風にしたいイメージの名残だからです。それはやや懐古趣味的で現代的ではありませんし、実際のところ断熱という意味ではオーバースペックで、ただでさえ200kg前後の薪ストーブを置くのにさらに重量を増すことになり、床の補強が非常に大袈裟になってしまいます。熱遮蔽という役目を果たすには、鉄板や耐火ボード一枚で良くて大切なのは壁からの1インチの(25mm程度の)空隙なのですから。インテリア性がほしいということなら軽量なレンガ風ブリックタイルを貼るのがいいと思います。